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倒産の私的研究2

2022.02.09
倒産の私的研究2

こんにちは

いつもありがとうございます

前回は

同業者の栄枯盛衰のお話でした



バブルのあと

同業者が次々に倒産しました

その時の経験談でした

その続編です

倒産する企業には

共通することがあります

その話をします

ちょっと横道にそれます

思えば貴重な経験だったのですが、

父の会社にいた時、

お客様の支払いが止まった時や

倒産した時は、

私が担当してました

他の営業や先輩・上司の担当得意先でも

すべて私の役目でした

命令されたわけではありませんが

自然とそうなりました

お支払いが止まると、お客様を訪問します

ですが、お支払いをお願いしても

払っていただけません

ここで警察を呼んでも意味がありません

支払いの問題は「民事」だからで

警察は「刑事事件」専門です

裁判してもムダです

支払い能力がなければ

裁判所が命令しても意味はないからです

できることは

金庫を開けてもらって

自社の製品でも他社製品でも、

所有者の同意をもらって

現物回収するしかありません

ですが、同意していただけることは

ほぼ100%ありませんし

そもそも、

金庫の中はカラですから

回収はほぼムリです

資金繰りに困った経営者が

真っ先にすることは

在庫を現金に変えることです

100万で仕入れた宝飾品でも

目先のお金に困っていると

5万でも10万でも売り払います

だから在庫がないんです

特に

倒産が発覚した後では

会社の在庫を含めた資産はすべて

弁護士が保全しているので

回収の交渉をすることすらムリです

理不尽なのは

社長個人に多額の資産が残っていても

個人資産を法人の支払いに回すことを

裁判所は命令できません

個人と法人は別、だからです

ですから

倒産を意識し始めた社長さんは

会社の資産を、いつのまにか、

自分の資産に変えてしまっていることが多いんです

例えば、在庫を現金で売り払って

そのお金を会社に入れず

自分のモノにしてしまいます

在庫は台帳には存在しても

いつの間にか「紛失」してます

よく映画なんかで、

ヤクザ屋さんが脅してお金を取りますよね

なぜこんなことが起きるかというと

倒産企業であっても

会社に金は無くても、社長個人は持ってる

だから脅して、同意、させる

とても普通の民間人ではできません

わたしも車1台が限界でした

倒産した会社の社長さんは

目を伏せて小声で話をします

とても小さく見えます

こうはなりたくない

私自身、深くそう思いました

だからこそ

倒産事例から学んだのですが

倒産企業には

共通することがあると思います

前回お話しした、同業者グループ

この24社については

ある程度事情を知っていましたし

社長さんの人となりを知っていた

だからこそ

学ぶことも多かったのですが

不振企業には特徴がありました

そのひとつに

社長さんが

ライオンズクラブや青年会議所などの

「社会活動」が好き

名誉職に就くのが好き、

というのがあります

5社の社長さんが

「青年会議所が大好き」でしたが

5社中3社が倒産して

2社は開店休業ですから

「社会活動」はかなりリスクが高い行為です

また、売上が良くない会社に限って

県の助成金とか

国の特別支援金、みたいな

そういうことに熱心でした

これって

宝くじを会社で買うようなものです

そんなのは一時しのぎであって

自分のビジネスの改革にならないから

たとえ当たったとしても

未来を開拓することにはなりません

むしろ危険なことだと思います

「本質から目をそらす」

これも不振企業に共通してます

例えばですが、

グループの社長24人には年代の差があり

この年代差が、一致団結できない原因、

そう主張する人たちがいた

「酒を飲みながら話せばわかりあえる」

若い人は本音を言っていない、だから

酒を飲ませれば本音を話すだろう

だから合宿をして、一晩呑み明かそう

これって解決策ですか?

このグループの目的は

団結ではなく

展示会の売上です

団結を議論するのではなく

売上を伸ばす方策を

議論するべきですが

なぜか、この

売上を伸ばすための話し合いは

一度もなく

団結をなんども話そうとする

スポーツならわかりますが

団結すると売上も

伸びるものなんでしょうか?

団結よりも

会社間の競争を促すべきなのでは?

事実、この時団結を主張した会社は

いま、社会に存在していません

こういう特徴もあります

24社のうち

ほぼ最初に淘汰された1社の

倒産まぎわに実際あったことです

会合の時、グループの他の20社に

「在庫を買ってくれ」

「1000万円ないと倒産してしまう」

20社くらいが均等に1社約50万円分

購入することになったのですが

買取依頼された在庫を見てびっくり、

価値がないものばかり

どう計算しても1万円にもならない

お金をくれ、と言っているようなものでした

「仲間なんだから、助けてくれよ」

そう言いたかったらしい

私は思うのですが

自分の会社のことで

  ひとに頼る

そういう発想が倒産を招くのだと思います

「自分以外に誰にも頼れない」

このことは社長さんなら

誰しも持つ諦念というか、覚悟

どんな親しい友人だって

お金のことは頼めない

家族だって

精神的には頼れても

お金のことは頼れない

「何があっても自分の責任」

今思うと、

この覚悟がこの社長さんにはなかった

ひとに頼るな、とは

お金に困っても

自分でなんとかしなさい

という意味ではありません

お金に困ってからでは

どうしようもないでしょう

私が言いたいのは

自分自身のちからで

他の会社、得意先、運、

特に今までの成功体験などに頼らず

会社の弱点を少なくし

強みを作り

得意先に対して

唯一の価値を提供できるようにする

困る前に自分の力で

強みを作るようがんばるべきだ

そういう意味です

私はこのことを

ある旅館さんに学びました

ある温泉旅館さん

お客さんからの予約が多くて

予約はいつも1年待ち

どんなにすごいのか知りたくて

私1年待って泊まってみたことがあります

行ってみると、

この旅館さんは、ぽつんと1軒

いわゆる温泉街の中にあるのではなく

長野県の田舎町の町のはずれ

それも谷間みたいな場所

そこにポツンと一軒だけの旅館です

周囲には観光名物は何もないし

山の陰で眺めも良くない

ただ寒いだけで

行って楽しいところではありません

ところが予約が取れない旅館なんです

周囲にライバルがいないから一人勝ち?

ではないと思います

なぜ不利な条件なのに

予約が取れないほど人気なのでしょうか?

個人の解釈ですが

この旅館さん

付近には観光名物もなく

温泉郷の名前や宣伝も期待できない

だから

自分自身の力でお客さんを呼ぶしかない

その努力の結果ではないでしょうか

並大抵の努力ではなかったと思います

しかし自分で呼ばなければ

お客様が来てくれるはずがない、

そういう状況だったと想像します

それが、強みになったのだと思います

弱みを強みに変えた

もし、この旅館さん

温泉郷の一員だったなら

ここまで強くなることはなかった

そう思うのです

同業者グループ24社を振り返ると

グループという名の温泉郷に頼った会社が

まっさきに淘汰されたのではないでしょうか


自らの力を磨くことを努力せず

自分以外に頼る

その気持ちが

倒産を招くのではないでしょうか?

私はある時点で見切りをつけて

このグループを脱退しました

(祖父や父には申し訳ありませんでしたが)

最後に

脱退表明後、ほかの社長さんたちから

浴びせられた言葉をご紹介します

「親父さんはみんなのために頑張った

 お前もそうしろ」

「いいお客さん捕まえたらしいな

 独り占めか?」

「バカのくせに運が良かっただけ」

「ずるいぞ」

「何をするつもりだ、教えろ」

これらの言葉の裏にある

「ほかの人の頑張り」

「ほかの会社のお客さん」

「運」

など

「自分以外に頼る気持ち」が

おわかり頂けると思います

ありがとうございました

株式会社J-one

代表取締役 島田逹己


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